頭蓋縫合早期癒合症はFGFR2遺伝子との関連が指摘されている、
CDC: Craniosynostosis こちら
矢状縫合の早期癒合症
冠状縫合の早期癒合症
定義
Craniosynostosis is a birth defect in which the bones in a baby’s skull join together too early. This happens before the baby’s brain is fully formed. As the baby’s brain grows, the skull can become more misshapen. The spaces between a typical baby’s skull bones are filled with flexible material and called sutures. These sutures allow the skull to grow as the baby’s brain grows. Around two years of age, a child’s skull bones begin to join together because the sutures become bone. When this occurs, the suture is said to “close.” In a baby with craniosynostosis, one or more of the sutures closes too early. This can limit or slow the growth of the baby’s brain.
When a suture closes and the skull bones join together too soon, the baby’s head will stop growing in only that part of the skull. In the other parts of the skull where the sutures have not joined together, the baby’s head will continue to grow. When that happens, the skull will have an abnormal shape, although the brain inside the skull has grown to its usual size. Sometimes, though, more than one suture closes too early. In these instances, the brain might not have enough room to grow to its usual size. This can lead to a build-up of pressure inside the skull.
頭蓋結合不全症は、幼児の頭蓋骨の骨が早く結合してしまう先天性疾患である。これは幼児の脳が完全形成される前に起こる(=よって脳が大きくなりきらないため、脳の障害が起こる)。幼児の脳が成長するにつれて、頭蓋骨はより形態異常を呈する。一般的に幼児の頭蓋骨の骨の間(縫合)は、柔らかい結合組織で占められ、「縫合」と呼ばれる。この縫合により、幼児の脳の成長に合わせて頭蓋骨を成長させる。2歳で、縫合は骨化するため、子供の頭蓋骨は結合する。こうして縫合は閉じる。頭蓋骨癒合症のある幼児は、1つまたは複数の縫合が早期に癒合し、幼児の脳の成長が制限されたり、遅くなったりする。
縫合が閉じて頭蓋骨が早く癒合すると、幼児の頭は頭蓋骨のその部分だけ成長が停止する。一方、縫合がいまだ結合していない頭蓋骨の他の部分では、幼児の頭蓋骨および脳は成長をし続ける。その場合、頭蓋骨内部の脳は通常の大きさまで成長するが、頭蓋骨の形状が異常になる。しかし、複数の縫合糸が同時かつ早期に癒合してしまうことがある。このような場合、脳が通常の大きさまで成長できるスペースがない。その結果、頭蓋骨の内側に圧力がかかり、脳に障害が起こる。
Types of Craniosynostosis
The types of craniosynostosis depend on what sutures join together early.
Sagittal synostosis– The sagittal suture runs along the top of the head, from the baby’s soft spot near the front of the head to the back of the head. When this suture closes too early, the baby’s head will grow long and narrow (scaphocephaly). It is the most common type of craniosynostosis.
Coronal synostosis – The right and left coronal sutures run from each ear to the sagittal suture at the top of the head. When one of these sutures closes too early, the baby may have a flattened forehead on the side of the skull that closed early (anterior plagiocephaly). The baby’s eye socket on that side might also be raised up and his or her nose could be pulled toward that side. This is the second most common type of craniosynostosis.
Bicoronal synostosis – This type of craniosynostosis occurs when the coronal sutures on both sides of the baby’s head close too early. In this case, the baby’s head will grow broad and short (brachycephaly).
Lambdoid synostosis – The lambdoid suture runs along the backside of the head. If this suture closes too early, the baby’s head may be flattened on the back side (posterior plagiocephaly). This is one of the rarest types of craniosynostosis.
Metopic synostosis – The metopic suture runs from the baby’s nose to the sagittal suture at the top of the head. If this suture closes too early, the top of the baby’s head shape may look triangular, meaning narrow in the front and broad in the back (trigonocephaly). This is one of the rarest types of craniosynostosis.
頭蓋癒合症の種類
頭蓋骨癒合症の種類は、どの縫合が早期に癒合するかによって決定されう。
矢状縫合:矢状縫合は新生児の前頭部から後頭部まで、頭頂部に沿って走行する。この縫合が早期に癒合すると、新生児の頭は細長くなる(横頭症)。矢状縫合の早期癒合は、頭蓋結合不全症の中で最も一般的な型である。
冠状縫合:左右の冠状縫合は、それぞれの耳から頭頂部の矢状縫合まで走行する。これらの縫合のうちの1つが早期癒合すると、幼児は、早期癒合した側の頭蓋骨の額が平坦になる(前斜角症)。また、その側の眼窩が盛り上がり、鼻がその方向に引っ張られる。これは、頭蓋結合不全症の中で2番目に多い型である。
二冠縫合:このタイプの頭蓋結合不全症は、幼児の頭の両側の冠状縫合があまりにも早く閉じてしまうことで起こる。この場合、幼児の頭は広く短く成長します(短頭症)。
ラムドイド縫合不全症 – ラムドイド縫合は、頭の裏側に沿って走行する。この縫合が早期癒合すると、幼児の頭は後頭部が平坦になる(後頭葉型)。これは稀な型である。
後頭骨結合不全症 – 後頭骨縫合は、幼児の鼻から頭頂部の矢状縫合まで走行する。この縫合が早期に癒合すると、幼児の頭頂部の形が三角形、つまり前が狭く後ろが広くなってしまう(三頭筋症)。これは稀な型である。
日本小児神経外科学会 こちら
頭蓋骨には、脳の急速な成長に伴って頭蓋が拡張できるための頭蓋骨の継ぎ目である頭蓋縫合がある。 この頭蓋縫合が通常より早く癒合し頭蓋の成長が障害されて頭蓋骨の変形を生じるのが本症である。
頭蓋骨縫合の早期癒合のみの非症候群性と、頭蓋以外(顔面や手足)の異常を伴う症候群性に 分類される。
頭蓋の形状により、三角頭蓋・短頭蓋・舟状(長)頭蓋などと呼ばれる。 また、症候群性には、クルーゾン病、アペール症候群、ファイファー症候群などが含まれる。
GRJ:こちら
FGFR関連の頭蓋骨縫合早期癒合症の範疇にある8つの疾患は.Pfeiffer症候群,Apert症候群,Crouzon症候群,Beare-Stevenson症候群,FGFR2関連の非症候群性*冠状縫合早期癒合症,Jackson-Weiss症候群,黒色表皮症を伴ったCrouzon症候群,Muenke症候群(FGFR3関連の非症候群性冠状縫合早期癒合症)である.Muenke症候群およびFGFR2関連の非症候群性冠状縫合早期癒合症をのぞいて,その他の疾患では全て両側冠状縫合早期癒合またはクローバーリーフ頭蓋,特異な顔貌,手足のさまざまな変化を呈する;Muenke症候群とFGFR2関連の非症候群性冠状縫合早期癒合症では一側もしくは両側の冠状縫合早期癒合の特徴を示す.
Crouzon症候群の臨床的特徴
知能:正常
頭蓋・顔面:高度の眼球突出,外斜視,下顎突出
四肢:正常(放射線検査にて中手骨,指節骨の比率が小さいことがある)
その他:進行性の水頭症(30%),しばしば小脳扁桃ヘルニアを伴う
FGFR2: JCGA こちら
FGFR2は受容体チロシンキナーゼであり、FGFリガンドの結合により活性化し下流のMAPKおよびPI3k/Akt/mTORシグナルを活性化することで、細胞増殖に関与する。活性化変異、融合遺伝子そして遺伝子増幅による異常活性化は、胃癌、乳癌、卵巣癌、肺癌、前立腺癌などで認められる。
FGFR2遺伝子について こちら
FGFR2と頭蓋骨縫合早期癒合症との関連
FGFRの構造と機能
FGFR はチロシンキナーゼ型レセプターファミリーに属し FGFR1-4の 4種類が同定されている。構造は 細胞外領域に免疫グロブリン様領域(Ig domain) 酸性ボックス領域 膜貫通領域細胞内領域には 2個のチロシンキナーゼ領域を有する。FGFR1-3のゲノムには IgⅢの後半部分をコードするエクソンが二つ(Ⅲb Ⅲc)あり この部分の組織特異的なスプライシングによってFGFR2ではⅢbアイソフォームは上皮系細胞にⅢcアイソフォームは間葉系細胞に発現し 異なるリガンド特異性を有する。頭蓋冠縫合部における骨成長および肢芽の発生に FGFR/FGFシグナルが重要な役割を担っていることが報告されているが、 中でも FGFR2Ⅲc遺伝子が発生中の頭蓋骨の osteogenicfrontに限局して発現することから FGFR2シグナルは頭蓋縫合部における骨芽細胞の増殖分化に重要であることが伺われる。FGFR2Ⅲcは膜性骨化のみならず軟骨内骨化にも影響を与えることから 長管骨の形成異常の病態成立に FGFR2Ⅲb/cのシグナル異常が関与する可能性も示唆される。
図は正常の縫合 日本形成外科学会 こちら
小児の頭蓋骨は成人と異なり、複数の骨に分かれている。「脳の表面に柔らかい複数の骨が島の様に浮いている」と考えると良い。骨と骨とのつなぎ目を頭蓋骨縫合と呼ぶ(上図)。乳児期には脳が急速に拡大する;生後1年で2倍、大人の70%の大きさになる。頭蓋骨もこの縫合部から骨が脳の成長に合わせ拡大する。成人になるにつれ縫合部分が癒合し強固な頭蓋骨が作られる。
頭蓋骨縫合早期癒合症とは頭蓋骨縫合のどれか、またはいくつかが通常よりも早い時期に癒合してしまう病気で、狭頭症(きょうとうしょう)とも呼ばれる。海外の報告によると出生1万人当たり4-10人と言われている。原因はほとんどわかっていないが、前述の如くFGFR2遺伝子はそのひとつの原因と考えられる。
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