図 低ナトリウム血症診断のためのアルゴリズム。SIADH. jp. こちら。
低ナトリウム血症を診断するためのチェックすべき項目
血液検査
血中ナトリウム濃度。一般的に血清ナトリウム濃度が135mEq/L未満のときに低ナトリウム血症と診断される。
尿検査
尿中ナトリウム濃度を測定する。
問診
患者の病歴、内服している薬剤などを聞き取ります。
身体所見
患者の身体所見を評価します。浮腫、心不全の合併など。
細胞外液の評価
細胞外液(体液)の量を評価する。
浸透圧の測定
血漿浸透圧、尿浸透圧の測定する。
血清ナトリウムとは
一般的に、血清ナトリウム濃度の正常値は136〜143mEq/Lとされ、135mEq/L未満は低ナトリウム血症と定義される。低ナトリウム血症の鑑別診断では、細胞外液(体液)の評価とともに、血漿浸透圧、尿浸透圧、尿中ナトリウム濃度などの測定が重要である。
- 血漿浸透圧を確認し、高血糖、グリセオールやマンニトール製剤使用などの高張性低ナトリウム血症を除外します。
- 脂質異常症や異常蛋白血症などがある場合は偽性低ナトリウム血症の可能性を考える。
- 細胞外液(体液)や尿中ナトリウム濃度、尿浸透圧から鑑別を行う。病態の把握に重要な細胞外液(体液)の評価は、問診や患者の身体所見、検査所見などを行う。
- 明らかな脱水があれば体液減少、明らかな浮腫が認められれば体液過剰と判断可能ですが、軽度の細胞外液の変化は判断するのは難しい。そのため、臨床経過や身体所見、治療的診断で輸液負荷に対する反応などからも判断する。
血漿浸透圧とは
血漿浸透圧
血漿浸透圧を構成するのはナトリウムやブドウ糖などの溶質であるため、低ナトリウム血症ではいくつかの例外を除き、血漿浸透圧が低下する。例外として高血糖やマンニトールによる高張性低ナトリウム血症と、脂質異常症や異常蛋白血症などによる等張性低ナトリウム血症(偽性低ナトリウム血症)がある。
SIADHはこの例外にはあてはまらず、血漿浸透圧280mOsm/kg未満の低張性低ナトリウム血症を示す。
低ナトリウム血症が確認されれば血漿浸透圧も同時に測定する。測定結果が直ちに得られない場合は、次の推定式から簡易的に求められる。可能であれば正確な測定値で判断する。
血漿浸透圧(mOsm/kg)=2×血清ナトリウム濃度(mEq/L)+グルコース(mg/dL)/18+BUN(mg/dL)/2.8
参考文献.角 浩史.低ナトリウム血症の診断。内科学会雑誌, 2022. こちら。
冒頭の写真は北海道 美瑛町の白髭の滝。こちら。
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