採血に適しているのは針は22Gのショートベベル: 注射器・注射針について

写真は千葉県の屛風ヶ浦。こちら。

注射針の歴史

注射針と注射筒の今昔

金属からガラス、そしてプラスチックへ

　注射の始まりは藁（わら）を針の変わりに使用したなどともいわれている。医療界では約350年前に犬の静脈へ実験的に行われたとされている。日本に注射技術が伝えられたのは、明治初期である。

注射器

明治初期に注射器は金属製であったが、明治中期になりガラス製の注射器が導入・国産化された。

注射針

　注射針は明治初期に導入され、当時は貴金属加工の職人が一つずつ手作りであった。金属板を丸めてつなぎめで合わせる方法で、現在の製造もこれを基本としている。初期の針はゴムの材質であったが、昭和初期には金属製の針が開発された。

ディスポーザブルの注射器・注射針

　昭和初期まで注射器・注射針は使用後も再利用されていた。使用後に洗浄、消毒・滅菌を繰り返すため耐久性のある金属やガラスが主流であった。射針は繰り返し使用するために、針先を研磨して修理・再利用していた。

　昭和33年（1958年）、医療機器メーカーのテルモは、感染症対策に効果的な単回使用の注射器の開発を開始し，耐熱性の低いプラスチックの滅菌が可能な新たな滅菌法（低温ガス滅菌法、ガス滅菌法）、菌を通さない包装材の開発などを行った。昭和38年（1963年）にディスポーザブルの注射器を発売した。感染対策の観点などから1970年頃から、普及が進んだ。

注射器と注射針の結合部は、大正初期までは各製品で統一性および互換性はなかった。大正時代に入り注射器の容量別に6種類の規格が制定され、昭和30年代までには日本独自の3規格が主流となった。その後、昭和36年12月に当時の厚生省告知により国際基準の基準が設定され、1年後，

注射針

注射針の外径は「ゲージgauge」ごとに分類されている。ゲージ数が小さいほど外径が大きくなる。バーミンガム・ワイヤー・ゲージ Birmingham Wire Gauge (B.W.G)とも呼ばれる。

図　ゲージごとの針の外径及び内径．　こちら。

注射針の直径を測定するための主なシステムはバーミンガム・ワイヤー・ゲージBirmingham Wire Gauge (B.W.G)である（スタブ鋼ワイヤーゲージとしても知られる）。

これとは別に主にカテーテルのために使用されるフレンチ・ゲージと言うのがある。

一般的な医療用の針は、7ゲージ(最大)から33(最小)の範囲である。代表的なものは，

21ゲージ針：検査目的で採血するために最も一般的に使用される。
16または17ゲージ針：採血の結果として生じる陰圧が低いので赤血球破壊が少ない。より多くの血液をより短い時間で採取できるため、一般的に献血で使用される。

図　ゲージごとの針の外径及び内径．JMS, こちら。

ゲージ	外径(mm)	色	用途
33G	0.20	Black 黒	歯科麻酔
27 G	0.41	Medium grey 灰色	皮内注射
23 G	0.64	Deep blue ディープブルー	筋肉注射
22 G	0.72	Black 黒	採血・点滴
18 G	1.25	Pink ピンク	輸血

表　注射針の規格（カラーコード）

注射針の規格（カラーコード）

医療用の注射針（滅菌済み注射針、末梢血管用滅菌済み留置針、気道用吸引カテーテル等）は2007年4月1日から、統一されたカラーコード製品へ移行した。同時にカテーテルの外径に係るカラーコードの統一化された。2007年10月以降、統一カラーコード製品以外の色を用いた注射針等は製造販売できない。

注射針の先端
注射針には針先の角度が大きく2種類に分類される．
レギュラーベベルregular bevel (RB): RBは、針先の角度は12～14°で刃面が長い。皮下、筋肉注射には、疼痛が少なく，針先が鋭角で穿刺が容易なRBが使用される．
ショートベベルshort bevel (SB): SBは、針先の角度は18～20°で刃面が短い。動脈、静脈穿刺には、血管を突き破るリスクが少ない，針先が鈍角のSBが使用される。