終末期医療とliving will, advance directive

内科・感染症

がんで闘病中の秋野暢子氏さんが尊厳死協会に入会したそうです。

日本尊厳死協会 こちら

人はいつか必ず死ぬ。実際に死に直面したときに、人はどうするのが最善か答えはない。その際に、事前に本人の医師確認をしておくことが重要である。

Livig willについて こちら

日本尊厳死協会のLiving willとは こちら

リビング・ウィル(living will)とは、生前の意思という意味の英語の音訳である。別に事前指示書Advance healthcare directive, personal directive, advance directive, medical directive、advance decision)ともいう。

生前に行われる尊厳死に対してであれば「尊厳死の権利を主張して、延命治療の打ち切りを希望する」などといった意思表示を指す。またそれを記録した「遺言書」などである。インフォームド・コンセントの浸透とともに、このような考え方が広まってきた。ほかに葬儀の方法や、臓器提供の可否などがリビング・ウィルの対象として論じられることが多い。

また自然死(尊厳死)を望む場合であれば死に直面した患者が、自らの意志で延命治療を拒み、死を迎えようとする考え方を指す。その場合に「苦痛を取り除くことを目的とする安楽死に対して、無理な延命措置により患者の尊厳が損なわれるのを避ける」ことが尊厳死の目的である場合もある。

尊厳死とは、人間が人間としての尊厳 (dignity) を保って死に臨むことであり、インフォームド・コンセントのひとつとされる。安楽死や蘇生措置拒否 (DNR) と関連が深い。


回復の見込みがなく、命が消え去ろうとしているときでも、現代の医療は、患者さんを生かし続けることが可能である。それは人工呼吸器をつけて体内に酸素を送り込み、胃に穴をあける胃ろうを装着して栄養を摂取させる。ひとたびこれらの延命措置を始めたら、はずすことは難しい。生命維持装置をはずせば死に至ることが明らかであり、意図的にはずすことを医療者は躊躇する(はずせない訳ではないが、その結論を出すまでに複雑かつ厳密な段階を踏まなければならない。倫理委員会を通す等)。

「あらゆる手段を使って生きたい」と思っている方々の意思は尊重されるべきである。一方、チューブや機械につながれて、なお闘病を強いられ、「回復の見込みがないのなら、安らかにその時を迎えたい」と思っている方も多い。「平穏死」「自然死」を望む方々が、自分の意思を元気なうちに記しておく。それがリビング・ウイル(LW)である。

以下に、Living willの指示書例。

日本尊厳死協会には著名人も参加しています。こちら

山本 悠司(大阪大学医学部)の終末期患者の意思を尊重する方法―米国の活動の日本への移行可能性について―は理解しやすい。こちら

Advance Care Planning について
事前指示は、あくまでもある時点における患者の終末期の医療行為に対する意思表示をするものである。事前指示は文書で同意を取る形式であり、ある時点における患者の意思を確認することしかできない。この問題を解決するために、米国では Advance Care Planning(以下 ACP)が実施され始めた。
ACP とは、将来起こり得る健康上の問題に関して、事前に患者が受ける医療行為を計画し実行するプロセス全体を指す。このプロセスにおいて、患者の意思をある時点における断片としてではなく、経時的なものとして医療に反映させる。事前指示はあくまでもコミュニケーションの結果として捉え、事前指示のみを意思決定の絶対の根拠として捉えることはしない。以下に ACP の概念により解決されうる、事前指示の持つ問題について述べる。
1. 事前指示は一方的な宣言であるがゆえに、内容の解釈や実践、または患者の意思が変化した際の事前指示の内容の更新についての問題が生じていた。しかしながら、ACP は患者とのコミュニケーションを重視するため、医療者は患者の価値観や人生観についての理解を得て事前指示の作成や終末期医療を行う。ゆえに医学的に解釈が困難な事前指示が作成されにくい。さらに事前指示に記載されていない医療行為に関しても、患者の価値観や人生観を参考に意思決定を行えるため、より患者の意思に近い医療を実践できると言える。
2. 事前指示の内容に関する問題としては、事前指示の内容の変化の問題や人格の同一性の問題が生じていた。しかし ACP においては、それぞれ事前指示の更新頻度を決定することや人格が変化した際の対応をあらかじめ医療者と決定し、より効果的に医療を行うことが可能となる。
一方事前指示により生まれる苦痛に関しても、患者と医療者がコミュニケーションを行う過程で、患者が事前指示を作成するか否かの判断が可能となる。さらに事前指示を知らない患者には、医療者から教育を受ける機会を提供できる。それゆえ、医療者が事前指示の作成を患者に提案することによる苦痛を最小限に留めることができる。
3. 事前指示の伝達においては、ACP は事前指示を作成する段階から医療者が関わることができるため、より確実に事前指示の内容を医療者に伝達することが可能となる。
以上より、ACP は事前指示そのものに由来する問題点や実際的な問題点など、多岐にわたる問題点を解決することが可能な概念であると考えられる.

終末期を迎えるのは患者ばかりではない。医療者である自身もいつかそれに直面する。患者さんに起こっていることは他人事ではなく、自分自身のこととして直視することが重要である。

写真は奥入瀬。氷瀑ライトアップツアーがあります。こちら

冬の奥入瀬も綺麗です。

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