写真は、狂犬病ウイルスを媒介する可能性がある動物。左からイヌ、キツネ、コウモリ、スカンク、アライグマ、ネコ。CDC こちら。
厚生労働省 狂犬病を媒介する動物 こちら。
小澤義博 世界の野生動物狂犬病の現状と日本の対応策 こちら。
海外渡航前に狂犬病ワクチン必要な国はどこか?という質問がありました。
(回答)オーストラリア、ニュージーランドなどを除く、ほとんど国では過去に狂犬病が発生したことがある。世界の150か国以上で感染のリスクがある。
実際的には、接種検討地域として、以下の地域が挙がる:東アジア、東南アジア、南アジア、中近東、太平洋地域、北アフリカ、中央アフリカ、南アフリカ、北・西ヨーロッパ、東ヨーロッパ、南ヨーロッパ、ロシア、北米、中南米。
動物と直接接触し感染の機会が多い場合、長期滞在、奥地などへの渡航ですぐに医療機関にかかることができない方に推奨する。
ワクチン接種は合計3回で、は4週間隔で2回接種し、さらに6~12ヵ月後に3回目を接種する。3回目のワクチン接種後、6ヶ月以内に咬まれた場合には追加接種が必要である。咬まれた当日およびその日から、3日、7日、14日、30日、90日の6回のワクチン接種が必要である。
日本検疫衛生協会 こちら。
狂犬病は、発病すればほぼ100%が死亡する病気です。アジア・アフリカ地域を中心に世界中で発生しており、発生が確認されていない国はオーストラリア、ニュージーランドなどごくわずかです。イヌだけでなくキツネ、アライグマ、コウモリなどの動物に引っかかれたり、咬まれたりすることによって感染する危険性が高く、長期滞在、研究者など動物と直接接触し感染の機会の多い場合や、奥地・秘境などへの渡航ですぐに医療機関にかかることができない人におすすめするワクチンです。
ワクチンは2種類あり接種方法が異なりますが、いずれも暴露前の場合は基本的には3回の接種が必要です。実際の接種方法については医師とよく相談してください。
なお、暴露前のワクチン接種を行っている場合であっても、特に狂犬病発生地域で犬などに咬まれた場合には暴露後のワクチン接種が必要です。暴露後の接種に関しては、使用できるワクチンの種類により接種回数が異なりますので、接種の必要性ならびに接種回数に関しては医師にご相談ください。
厚生労働省 検疫所 FORTH こちら。
狂犬病について。
IDWR: こちら。 一部編集して記載。
狂犬病は、狂犬病ウイルスを保有するイヌ、ネコおよびコウモリを含む野生動物に咬まれたり、引っ掻かれたりしてできた傷口からの侵入、および極めて稀ではあるが、濃厚なウイルスによる気道粘膜感染(エアロゾル)によって発症する人獣共通感染症である。
狂犬病は4類感染症全数把握疾患に定められており、診断した医師は直ちに届け出る必要がある。
疫学
世界保健機関(WHO)によると、全世界で毎年3万5,000-5万人が狂犬病によって死亡している。狂犬病はアジアでの発生が大部分で、アジア、アフリカでは狂犬病のイヌから多く感染している。
南米では、吸血コウモリによる家畜の狂犬病が経済的な被害を及ぼしている。北米およびヨーロッパ等ではヒトの狂犬病は少ないが、アライグマ、スカンク、キツネ、コウモリ等の野生動物の狂犬病が発生している。
厚生労働省:こちら。一部編集して記載。
狂犬病予防法が制定される1950年以前、日本国内では多くの犬が狂犬病と診断され、ヒトも狂犬病に感染し死亡していた。このような状況下、狂犬病予防法が施行され、犬の登録、予防注射、野犬等の抑留が徹底されるようになり、約7年の短期間で狂犬病を撲滅するに至った。
現在、日本では狂犬病の発生はない。しかし日本の周辺国を含む世界のほとんどの地域で依然として発生しており、対策は重要である。
CDC こちら。
Rabies is a fatal but preventable viral disease. It can spread to people and pets if they are bitten or scratched by a rabid animal. In the United States, rabies is mostly found in wild animals like bats, raccoons, skunks, and foxes. However, in many other countries dogs still carry rabies, and most rabies deaths in people around the world are caused by dog bites.
The rabies virus infects the central nervous system. If a person does not receive the appropriate medical care after a potential rabies exposure, the virus can cause disease in the brain, ultimately resulting in death. Rabies can be prevented by vaccinating pets, staying away from wildlife, and seeking medical care after potential exposures before symptoms start.
狂犬病は致死的疾患であるが、予防可能なウイルス性疾患である。 狂犬病に罹患した動物に噛まれたり、引っ掻かれたりすると、その噛まれた人やペットに狂犬病ウイルスが伝播する可能性がある。 米国では、狂犬病は主に野生のコウモリ、アライグマ、スカンク、キツネなどの野生動物で発生するが、他の多くの国では犬が狂犬病媒介の主たる動物である。よって世界的には狂犬病による死亡例のほとんどは犬咬傷によって引き起こされている。
狂犬病ウイルスは中枢神経系に感染する。 狂犬病に感染した可能性のある動物に噛まれるなどの暴露後に、噛まれたヒトは適切な医療を受けないと、狂犬病ウイルスが脳に感染を起こし、最終的には死に至る。 狂犬病を予防するためには、1) ペットにワクチンを接種する、2) 野生動物に近づかない、3) 誤って狂犬病ウイルスに感染している動物に噛まれるなどの暴露した可能性がある場合には、迅速に発症前に医療機関を受診し、診断・治療を受けることで予防可能である。
WHO こちら。
Rabies is a vaccine-preventable viral disease which occurs in more than 150 countries and territories. It causes tens of thousands of deaths every year, mainly in Asia and Africa, 40% of whom are children under 15 years of age.
Dogs are the main source of human rabies deaths, contributing up to 99% of all rabies transmissions to humans. Rabies can be prevented through vaccination of dogs and prevention of dog bites.
After exposure of people to a potentially rabid animal, they should seek post-exposure prophylaxis (PEP), which consists of immediate, thorough wound washing.
Globally rabies causes an estimated cost of US$ 8.6 billion per year.
A One health approach assures the engagement of multiple sectors and local communities to build awareness and conduct mass dog vaccination campaigns.
狂犬病はワクチンで予防可能なウイルス性疾患であり、150 以上の国と地域で発生している。 主にアジアとアフリカで毎年数万人が死亡しており、そのうちの40%が15歳未満の子供である。
ヒト狂犬病において犬咬傷がその主たる感染経路で、死亡の主原因である。犬咬傷は狂犬病の約99%の原因となりうる。幸運なことに狂犬病は犬のワクチン接種を実施することと、ヒトは犬咬傷後発症の治療によって発症予防できる。
狂犬病の可能性のある動物に人々が曝露された後は、直ちに犬咬傷部位を洗浄する曝露後予防策を実施する。
世界中で狂犬病による被害は年間86億米ドル(約1兆2,647億円)と推定されている。
One health approachは、大規模な犬の狂犬病ワクチン接種キャンペーンを実施している。
映画
映画、狂犬病で狂犬になってしまうキング原作の映画「クジョー」。こちら。昔、読んで怖かった記憶があります。
冒頭の写真は狂犬病ウイルス。国立感染症研究所から転載。こちら。