好酸球性肺炎の確定診断には肺組織生検は必須である=肺胞腔に好酸球浸潤があり、肺胞隔壁にも好酸球の浸潤を認める

内科・感染症

好酸球性肺炎とは 日本呼吸器病学会 こちら。一部編集。

 一般的に肺炎と言われているのは、細菌やウイルスなどの病原体が肺に感染して引き起こす病気
であるが、好酸球性肺炎は、白血球の一種でアレルギー反応に関与している好酸球によって引き起こ
される特殊な肺炎である。原因は、薬物やカビ(真菌)などアレルギーをおこす抗原の吸入によることが報告されているが、原因が不明であることも多い種々の呼吸器症状:咳、発熱、呼吸困難で発症し、胸部エックス線検査や血液検査で、一般的な肺炎と診断されることが多く、抗菌薬の投与により改善しないため、非感染性疾患として診療される。原因が不明なことが多く、特発性好酸球性肺炎idiopathic eosinophilic pneumoniae (IEP)と呼ばれる。

急性好酸球性肺炎と慢性好酸球性肺炎の分類 

持丸 博. 急性好酸球性肺炎と慢性好酸球性肺炎の臨床病理学的相違:こちら

近年 IEP は慢性好酸球性肺炎(CEP),急性好酸球性肺炎(AEP)そして単純性好酸球性肺炎と分類されている
慢性好酸球性肺炎CEP は,呼吸困難,体重減少といった症状が,数カ月から数年続く発熱をきたし,単純胸部X線では末梢側優位の浸潤影を呈するのが特徴である。胸部CT では非区域性の air space consolidation を呈する。組織学的検討では,典型的には好酸球とリンパ球の肺胞隔壁や間質への集簇で,半数の例で間質の線維化を認めている。器質化肺炎像や好酸球性膿瘍をときに認め,少数例で非乾酪性肉芽腫を認める。

急性好酸球性肺炎AEP は,急性発症,重篤な呼吸困難また胸部レントゲン写真上のびまん性の浸潤影,気管支肺胞洗浄(BAL)液中の好酸球分画の増加,ステロイド治療による完全な改善を特徴とする。ステロイド治療なしでの自然改善した症例も報告されている.胸部X線では,びまん性の浸潤影の他に胸水やカーリーラインを特徴とする.胸部 CT では,すりガラス様の濃度上昇や小結節影,小葉間隔壁の肥厚を伴うことがある。組織学的には(外科的肺生検が症例報告されており),好酸球の肺胞腔と間質への浸潤とびまん性の肺胞浮腫である。

単純性好酸球性肺炎は、特発性で急性経過を示す“好酸球性肺疾患”のうち,一過性の浸潤影をとるが,臨床症状が軽微であり,自然軽快するものを,“好酸球性肺疾患”の分類の中で、“単純性肺好酸球増多症”2),“一過性肺好酸球増多症”に位置づけられている.

画像 radiopaedia. 急性好酸球性肺炎 Acute eosinophilic pneumonia. こちら

胸部X線

胸部CT


好酸球性肺炎の確定診断には病理組織診断が必要である

診断 Matthew Crowe. Chronic eosinophilic pneumonia: clinical perspectives. PMID: 30936702. こちら
The diagnosis of CEP needs a heightened clinical suspicion as there are no absolute diagnostic criteria, and it has features, which overlap with various other pulmonary diseases.
Although CEP was originally a histological diagnosis, it is now typically diagnosed based upon the combination of greater than 2 weeks of respiratory symptoms, BAL and/or blood eosinophilia (usually with BAL cell count differential 40% or serum eosinophils 1,000/mm3), pulmonary infiltrates with a peripheral predominance, and exclusion of other known causes of eosinophilic lung diseases. Diagnostic uncertainty can arise in those already on steroids, which may reduce or mask eosinophilia.
If biopsy becomes necessary, open-lung biopsy is not practical in all patients but has the highest yield in terms of tissue diagnosis. Transbronchial lung biopsy can be limited by small biopsy samples or incorrect site of biopsy.

CEPの診断には、絶対的な診断基準がなく、他の肺疾患と鑑別を要する類似する点が多いため、臨床的にまず疑うことが必要がある。
CEPは「組織学的診断」であった。しかし現在では

●2週間以上の呼吸器症状

●BALおよび/または血液中の好酸球増加(通常、BAL細胞数差40%または血清好酸球数1,000/mm3)

●末梢優位の肺浸潤

●好酸球性肺疾患の既知の他の原因の除外

をもとに診断される。

病理組織確定診断の施行前に、ステロイド治療が開始された症例では、好酸球増加はマスクされ、診断に苦慮することがある。
病理組織診断による診断法として、

●開胸肺生検:実施することは理想であるが、すべての患者にとって行うことは現実的ではない。しかし確定診断に至る可能性が最も高い。

●経気管支肺生検:微小な生検材料であったり、生検部位が不十分であったりするため、確定診断に至らないことがある。

病理組織 

Matthew Crowe. Chronic eosinophilic pneumonia: clinical perspectives. PMID: 30936702. こちら。Figure 4より引用。

図1 慢性好酸球性肺炎の病理組織像。病理学的に、肺胞腔に充満するフィブリン析出物と好酸球を認める(矢印)。好酸球と組織球は肺胞間質・隔壁にも浸潤している(矢頭). HE染色、200倍.

好酸球性肺炎の喀痰細胞診

図2 好酸球性肺炎の喀痰細胞診像。細胞学的に、観察される細胞のほとんどが好酸球である(矢印)。*好酸球は細胞質内にエオジンに好染する顆粒を認め、好酸性顆粒である. ギムザ染色の変法、400倍.

冒頭の写真

1枚目は、本家 鮪屋の特選とろ炙り三昧丼定食。紹介はこちら

2枚目は、好酸球、ギムザ染色。

写真はティラノサウルスの実物大の頭骨レプリカ 伊豆アンモナイト博物館 紹介はこちら

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