臨床検査医は、単なる検査室管理者ではなく、輸血・凝固・感染症・分子診断などの専門知識を用いて臨床現場で診療を支援するコンサルタント医である

病理

臨床検査科は、医師の診療や治療方針の決定に必要な検査データを提供する医療部門である。主に、血液や尿などを調べる「検体検査」と、心電図や超音波など患者さんの身体を直接調べる「生理機能検査」、さらにヒトから得られる病理や細胞の診断を行う「病理検査」を実施する。

日本の病院施設における「臨床検査管理加算Ⅳ」の要件は、「臨床検査に専ら従事する常勤医師」の存在を求めているが、その医師が必ずしも臨床検査専門医や臨床検査管理医である必要はない。そのため、制度上は他科であり、また専門医資格を有さない医師であっても、検査部門を統括することが可能である。

臨床検査を管理する医師:臨床検査専門医と臨床検査管理医

臨床検査専門医は全国で約600〜650名程度と少ない。臨床検査専門医の資格を持つ医師は、申請によって同時に臨床検査管理医の資格を取得できる仕組みになっており、専門的かつ指導的な役割を担っている。

臨床検査専門医とは、こちら

臨床検査専門医はどのような仕事をしていますか? 

回答:臨床検査専門医は病院検査室において、検査部全体のマネージメントをしている。臨床医より検査データの解釈問合せに対するアドバイス、日常検査データの精度管理、検査過誤を予防するためのシステムの導入、検査法の標準化の推進、新しい検査項目の開発、新しい検査項目の選定、臨床的有用性を確認するための研究などである。
教育面では臨床検査技師の卒後教育、医学部学生の臨床実習、専門医の教育などを日常業務として行っている。
診療面では臨床各科の医師に対しては、検査データの解釈についての専門的アドバイスを行っている。その他、院内での感染対策支援、新薬治験時のデータの提供、臨床検査を含む共同研究、検査データの作成や専門的知識による研究支援を通して、医学的コンサルテーションを行っている。

臨床検査専門医と臨床検査管理医の違い。こちらこちら2

1979年、日本臨床病理学会(現在の日本臨床検査医学会)のによる「認定臨床検査医制度」として発足した。その後、1984年に第1回の認定試験が実施され、現在の体制へと発展してきている。

臨床検査管理医は2005年から認定を開始した。

なぜ2つあるのかというと、数と質のジレンマに対応するためとされる。「専門医数は増やしたいが、質は低下させたくない」という、相反する希望がある。専門医の試験は幅広い分野を勉強する必要があり、その資格取得にはハードルが高い。輸血、微生物、血液学、寄生虫を見て学名を答えるなどの実技がある。難易度の高い試験のため、受験者数も少なく、その上取得者も少ない。

一方で、検体検査管理加算を取得する目的のためニーズは高く、専ら検査の管理に携わる医師を配置する必要があり、臨床検査を管理できる医師を配置したいという病院が増えている。また全国で約800人ある衛生検査所(検査センター)にも指導監督医を配置する必要がある。しかし、臨床検査専門医の人数は約700人と少ないので、このニーズに応えられない。そのため、専門医とは別に臨床検査管理医の資格を別建てで用意された。その取得には1日講習と試験で合格可能な資格である。

海外の検査部門責任者の資格

海外、特に米国や英国では、日本よりも「検査部門責任者の資格」が明確である。

海外の医療現場における「検査部門の医師」は、主に臨床病理医(Clinical Pathologist)と呼ばれ、日本の臨床検査専門医に相当する役割を果たしている。特にアメリカやヨーロッパなどでは、病理診断や検査室のマネジメントを行う重要な専門医として独立した地位が確立されている。

米国における臨床検査部門の専門医

病理学(Pathology)は独立した臨床専門科の一つである。

検体検査を担当する「臨床病理医(Clinical Pathologist)」と、組織や細胞を診断する「解剖病理医(Anatomic Pathologist)」に分かれているのが一般的である。これらを統括する専門医機構として、American Board of Pathologyが存在する。

ヨーロッパにおける臨床検査部門の専門医

ヨーロッパは、国によって資格の名称や体系が異なる。例としてドイツでは、日本と同様に「臨床検査専門医」の領域が存在するが、検体検査と生理機能検査の専門領域がより細かく分かれている場合がある。

照屋純.アメリカにおける臨床病理の役割.栄研化学、こちら

要約 

1. 米国では病理は「臨床科」である
日本では病理は基礎系に近い位置づけだが、米国では病理学は臨床医学の一分野である。
病理専門医は、解剖病理(AP)、臨床病理(CP)に分かれている。一方、臨床病理には、血液病理、輸血医学、臨床化学、微生物学、分子診断などの専門領域がある。

2. 臨床検査医は検査室の中だけで仕事をするわけではない
米国の臨床病理医は、病棟やICU、救急外来に出向いて臨床医と直接協力する。
輸血副作用や凝固異常などに対して、患者を診察しながら治療方針を助言する。
検査結果を報告するだけでなく、「どう治療すべきか」を提案する役割を担う。

3. 付加価値(Value-added)を提供することが重要
臨床病理医の価値は、検査を実施することではなく、検査結果を解釈し、臨床側にコンサルトを行い、
患者診療に直接貢献することにあると強調している。

4. チーム医療の一員として機能する
臨床検査医はICU回診や他科とのカンファレンスに参加する。
臨床医、看護師、薬剤師らと協力しながら診療を行う。
臨床病理医の存在が周知されることで、病院内で信頼されるコンサルタントとなる。

5. 日本への提言
臨床検査医は検査室に閉じこもるのではなく、患者診療に積極的に関与し、検査結果に付加価値を与える存在であるべき、と述べており、米国型の「コンサルタントとしての臨床検査医」の重要性を紹介しています。

まとめ
「米国の臨床検査医は、単なる検査室管理者ではなく、輸血・凝固・感染症・分子診断などの専門知識を用いて臨床現場で診療を支援するコンサルタント医である」

上記の如く、照屋医師は血液分野のスペシャリストである。米国では臨床検査専門医が全ての検査分野を完璧にカバーすることではなく、自分の専門領域において高度な知識を有し、臨床医からの相談に応じ、検査結果を患者診療に結び付け、病棟やカンファレンスの場で診断・治療に貢献する。

米国では、臨床病理医は輸血、微生物、分子診断、化学、血液、遺伝子、情報学など各領域の専門家として活動しており、Clinical Microbiology, Transfusion Medicine, Hematopathology, Molecular Pathology, Chemical Pathology などのサブスペシャリティに分化し、それぞれの専門家がコンサルテーションを行っている。

写真は北海道南の函館市南茅部地区(旧南茅部町)で発見された「中空土偶」。2007年に国宝に指定された。南茅部の「茅(カヤ)」と、中空土偶の「空(クウ)」を合わせて、「茅空(カックウ)」という愛称で親しまれている。情報は函館市縄文文化交流センター こちらこちら2

冒頭の写真は函館山。こちら

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